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通り魔・無差別襲撃に遭遇したら?護身術の専門家が教える「生き残るための行動」
通り魔や無差別襲撃に遭遇したときは、犯人を止めようとせず、まず危険から離れてください。距離を取り、逃げ道を探し、壁・柱・ドア・車両・机などを相手との間に入れ、安全を確保してから110番通報します。
著者・監修:ヒーロ黒木(黒木博文)
駅、電車、商業施設、路上などで、突然誰かが人を襲い始めたら、どう行動すればよいのでしょうか。
護身術の目的は、犯人に勝つことではありません。自分自身、そして大切な人と無事にその場から生還することです。剣護身術では、これを「負けない戦い」と考えています。
通り魔事件で最初に必要なのは「戦う技術」ではない
無差別襲撃の難しさは、いつ、どこで発生するか分からないことです。犯人が刃物などの凶器を持っているとも限りません。
そのため、「刃物をこう防ぐ」という一つの技術だけでは十分ではありません。
- 異変に気づく
- 状況を判断する
- 危険から離れる
- 逃げる
- 通報する
- 逃げられない場合に身を護る
この順序で考えることが重要です。
1.異変を感じたら「確認しに行かない」
大きな叫び声、人が一斉に走ってくる、物が割れる音、突然変わる人の流れ。こうした異変が起きたとき、何が起きているのか確認したくなるかもしれません。
しかし、危険の可能性がある方向へ自分から近づかないことが大切です。
「何が起きたのだろう?」より先に、「危険かもしれない」と考える。この初動が護身では非常に重要です。
2.犯人ではなく「逃げ道」を見る
危険人物を見つけると、人はその人物を凝視してしまいがちです。相手の位置を把握しながら、同時に「自分はどこへ逃げられるか」を確認してください。
- 出口
- 階段
- 店舗
- 別の車両
- 建物の外
- 鍵を掛けられる部屋
相手の動きだけを見るのではなく、自分が安全圏へ移動するための経路を見る習慣を持つことが重要です。
3.できるだけ距離を取る
危険人物から離れられるのであれば、離れてください。護身術を習っているからといって、近づく必要はありません。
距離は、それ自体が大きな防御になります。特に相手が刃物などを持っている場合、見た目以上の速さで間合いを詰めてくる可能性があります。
「まだ遠いから大丈夫」と油断せず、逃げられるうちに逃げることが重要です。
4.犯人との間に「物」を入れる
逃走する際にも環境を利用します。柱、壁、ドア、改札、机、椅子、車、電車の座席、店舗の什器など、使える物は状況によって異なります。
重要なのは、自分の身体と犯人を一直線にしないことです。可能であれば何かを間に入れながら距離を広げます。
これは相手と戦うためではありません。接触されるまでの時間を少しでも増やし、逃走するためです。
5.家族や子どもと一緒なら「全員で逃げる」
家族や子どもと一緒にいる場合は、普段から「危ないことが起きたらどうするか」を話し合い、家族のルールを決めておくことが大切です。
危険が迫っているときは、長い説明ではなく、「逃げろ!」「助けを呼んで!」と短く明確に指示します。家族全員の退避方向をそろえ、助けようとして危険人物へ近づかないようにします。
6.安全を確保して110番する
危険からある程度離れ、安全を確保できたら警察へ通報します。
警視庁は、警察官にすぐ現場へ来てほしい事件・事故では110番するよう案内しています。110番では、次のようなことを尋ねられます。
- 何が起きたのか
- 発生からどのくらい経っているか
- 場所
- 被害や目撃の状況、けが人の有無
- 犯人の人数、特徴、服装、逃走方向
ただし、通報するために危険な場所へ残る必要はありません。まず安全確保を優先してください。
逃げられない場合はどうするのか
逃げ道がない、突然至近距離で襲われた、家族が逃げ遅れている、すでに攻撃が始まっている。そうした状況では、自分の身体や身の回りにある物を使って身を護らざるを得ないことがあります。
しかし、目的を間違えてはいけません。目的は犯人を倒すことではなく、攻撃から身体を護り、逃げるための一瞬を作ることです。
刃物を持った人物への具体的な対応については、「刃物を持った人物に遭遇したら?護身術の専門家が教える『生き残るための行動』」で詳しく解説しています。
「スマホを見ながら歩く」という習慣も見直す
無差別襲撃を完全に予測することはできません。しかし、周囲の異変に気づく可能性を高めることはできます。
歩きながらスマートフォンを見続ければ視野は狭くなります。イヤホンなどで周囲の音が分かりにくくなれば、異変への気づきが遅れる可能性もあります。
私は、護身術を「襲われてから始まるもの」とは考えていません。周囲を見ることも護身です。
2008年の秋葉原事件が、護身術普及の原点になった
私が護身術の普及に本格的に取り組む大きなきっかけとなったのが、2008年6月に秋葉原で発生した無差別殺傷事件でした。
当時、私は秋葉原から近い場所で仕事をしていました。事件を知り、「もし自分の大切な人が、突然こうした事件に巻き込まれたら」と考えました。
どれだけ護身術の技を知っていても、突然起きたことに身体も心も反応できなければ意味がありません。
だからこそ、危険を知り、考え、実際に動いてみる。その経験によって、「想定外」を「想定内」にする。これが、私が護身術で大切にしている考え方の一つです。
「通り魔に勝つ」のではなく「生きて帰る」
無差別襲撃という極端な状況では、絶対に安全な方法はありません。護身術を習えば必ず助かるとも言えません。
- 戦わない
- 近づかない
- 逃げる
- 物を利用する
- 助けを求める
- どうしても逃げられない場合に身を護る
複数の選択肢を持っておくことが重要です。
護身の目的は「勝つこと」ではありません。無事に家へ帰ること。それが、剣護身術の考える「負けない戦い」です。
よくある質問
通り魔を見つけたら、周囲の人を助けに行くべきですか?
まず自分自身と同行者の安全確保を優先してください。危険人物へ直接近づくと、自分も被害に遭う危険があります。安全な場所へ移動したうえで、警察への通報や周囲への注意喚起など、その状況で可能な行動を考えます。
犯人が刃物を持っていたら、取り上げるべきですか?
原則として、自ら近づいて取り上げようとしないでください。距離を取り、逃走や遮蔽物の利用を優先します。詳しくは刃物への対応を解説した記事をご覧ください。
護身術を習えば、通り魔事件でも身を護れますか?
安全を保証するものではありません。護身術の価値は「必ず相手に勝てる」ことではなく、危険察知、回避、逃走、身体防御など、生還するための選択肢を増やしておくことにあると考えています。
110番では何を伝えればいいですか?
何が起きたか、発生からの時間、場所、被害状況、犯人の人数・特徴・服装・逃走方向などを、分かる範囲で伝えます。警視庁もこれらを110番時の確認事項として案内しています。
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公的機関の参考情報
警察庁は、無差別殺傷事件その他の重大事案を想定した実戦的な訓練を継続していることを公表しています。また、近年の列車内殺傷事件を踏まえ、鉄道事業者との連携や駅・鉄道施設での警戒強化も行っています。
※本記事は一般的な防犯・護身情報を提供するものであり、個別の状況における安全を保証するものではありません。公的機関の情報とヒーロ黒木の専門家見解は、それぞれの出典を分けて掲載しています。
著者・監修
- 防犯護身コンサルタント
- 剣護身術 代表
- 一般社団法人 国際護身武道連盟(IGBA)代表理事
企業・自治体・教育機関などで2万人以上への指導経験を持ち、「相手を倒す」のではなく「危険から生きて帰る」ことを目的とした護身術を指導。



