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「何かおかしい」と感じたら?違和感を無視しない護身術の考え方
「さっきから同じ人が後ろにいる気がする」「なぜか距離を詰めてくる」「こちらが離れても近づいてくる」「この場所にいるのは少し嫌な感じがする」。こうしたとき、「考えすぎかな」「失礼かもしれない」と、自分の感じた違和感を打ち消してしまうことがあります。
しかし護身という観点では、危険だと断定できなくても、違和感を覚えた時点で安全側へ行動を変えることには意味があります。大切なのは、相手を危険人物と決めつけることではありません。少しでも不安を感じたら、距離を取り、安全な場所へ移動できる選択肢を持っておくこと。ヒーロ黒木は、これも護身術の一部だと考えています。
護身は「襲われた瞬間」から始まるものではない
護身術というと、掴まれた手を外す、殴られるのを防ぐ、刃物から身を護るといった身体技術を想像する人が多いかもしれません。もちろん、それらも護身術です。しかし、できることなら、そこまで状況を進ませないことの方が重要です。
危険に気づく。距離を取る。場所を変える。助けを求める。その段階で危険を回避できれば、身体技術を使う必要そのものがなくなる可能性があります。剣護身術では、相手を倒すことではなく、危険を回避して無事に帰ることを大切にしています。
「違和感」と「危険人物の決めつけ」は違う
服装、年齢、性別、国籍、外見といった特徴だけを理由に「この人は危険だ」と判断することは、護身における危険察知とは違います。見るべきなのは、人の属性ではなく、行動と状況です。
たとえば、こちらが進路を変えても同じ方向についてくる、必要以上に距離を縮めてくる、断っているのに接触を続けようとする、進路をふさぐといった行動や状況の変化を見ます。警視庁も、子どもや女性を対象とした声掛け、つきまとい、身体を掴む行為などを、性犯罪等の前兆とみられる「前兆事案」として扱っています。
違和感を覚えたら、まず「間合い」を変える
何かおかしいと感じたからといって、相手に問い詰める必要はありません。まずできるのは、距離を変えることです。少し離れる、立ち位置や進路を変える、人のいる場所へ移動する、店舗などへ入る。これだけでも状況は変わります。
護身における理想は、危険な状況になってから技で解決することではなく、そもそも簡単に身体へ触れられる距離に入らせないことです。剣護身術では、距離を保つこと自体を重要な護身と考えています。護身術で最も大切な「間合い」もあわせてご覧ください。
「気のせいだったら恥ずかしい」と考えなくていい
違和感を覚えて場所を移動したけれど、結果として何も起きなかった。それでいいのです。相手が本当に危険人物だったのかどうかを、最後まで確認する必要はありません。護身の目的は、相手の正体を突き止めることではないからです。
安全な方へ行動を変えて、何も起きなかった。それも一つの「負けない戦い」です。相手を傷つけない護身術で解説しているように、相手を断定・攻撃せず安全側へ移動することも大切な判断です。
不安を感じたら「人のいる場所」へ移動する
一人でいるときに違和感を覚えた場合は、人通りのある場所、営業中の店舗、駅員や警備員のいる場所、交番、コンビニエンスストアなど、周囲へ助けを求められる環境へ移動することを考えます。つきまといなどが疑われる場合、自宅へそのまま向かうことが常に最善とは限りません。
警視庁も、ストーカー被害への防犯上の心構えとして、一人で悩まず警察や信頼できる人に相談すること、防犯ブザーの携帯、万一の場合に警察や近隣の人、コンビニエンスストアなどへ助けを求めることを案内しています。
危険を感じたときは「声」も護身になる
相手がさらに距離を縮めてきたり、身体へ触れようとしたりする場合には、状況に応じて「やめてください」「近づかないでください」など、意思を明確に伝えることも選択肢になります。さらに緊急性が高まれば、周囲へ助けを求めるために大きな声を出すこともあります。
ただし、声を出すこと自体が目的ではありません。相手を刺激する危険がある状況も考えられるため、距離、逃走、安全な場所への移動を含めて判断することが重要です。
「違和感」は正解を当てるためのものではない
人間の直感がいつも正しいわけではありません。不安を感じた相手が、実際には何の危険もない場合もあります。だから「直感を信じれば危険人物を見抜ける」と考えるのではなく、違和感を「相手を断定する材料」にせず、「自分の安全行動を始めるきっかけ」にします。
距離を取る。周囲を見る。出口を確認する。人のいる場所へ移動する。必要なら助けを求める。こうした行動であれば、結果的に危険がなかったとしても、大きな問題にはなりにくいでしょう。
日頃から「安全な逃げ先」を知っておく
普段使う駅、通勤・通学路、よく利用する商業施設、自宅周辺について、交番はどこにあるか、夜でも開いている店はどこか、駅員はどこにいるかを知っておくことも一つの備えになります。警視庁は、子どもや女性への声掛け・つきまといなどの前兆事案を含む情報を犯罪情報マップで公開しています。
「想定外」を「想定内」にする
実際に違和感を覚えた瞬間に「どうしよう」と考え始めていては、判断が遅れることがあります。後をつけられているように感じたらどうするか、駅で不自然に距離を詰められたらどうするか、子どもと一緒にいるときならどこへ移動するかを、普段から一度考えておく。それだけでも、突然の出来事を完全な想定外にしないための準備になります。
これが、ヒーロ黒木が大切にする「想定外を想定内にする」という護身の考え方です。
護身術とは「戦わなくて済む選択肢」を増やすこと
危険を感じたときに相手と戦うしか選択肢がなければ、護身としては非常に厳しい状況です。気づく、距離を取る、進路を変える、人のいる場所へ移動する、声を使う、助けを求める、逃げる。そうした選択肢を持っていれば、身体的な衝突を避けられる可能性があります。
戦う技を増やすことだけが護身術ではありません。戦わずに済む選択肢を増やす。それも「負けない戦い」です。危険察知についての解説も参考にしてください。
よくある質問
「何となく怪しい」というだけで、その人から離れてもいいのでしょうか?
はい。相手を犯罪者だと決めつける必要はありませんが、自分が不安を感じたのであれば、距離を取ったり場所を変えたりすることはできます。重要なのは相手を断定することではなく、自分の安全側へ行動を変えることです。
危険人物は見た目で判断できますか?
外見だけで危険性を判断することは適切ではありません。剣護身術では、人の属性ではなく、距離の詰め方、つきまとい、進路をふさぐなどの行動と状況を見ることを重視しています。
後をつけられている気がするときはどうすればいいですか?
相手を確認するために危険な場所へ移動したり、直接対峙したりするのではなく、人のいる店舗、駅員・警備員のいる場所、交番など、安全を確保しやすい場所へ移動することを考えます。必要に応じて警察や信頼できる人へ相談してください。
護身術を習えば危険を察知できるようになりますか?
必ず危険を見抜けるようになるという保証はありません。ただ、周囲を見ること、距離を意識すること、逃げ道を確認することなどを繰り返し学ぶことで、安全について考える習慣を身につけることはできます。
違和感を覚えたら相手に確認した方がいいですか?
必ずしも確認する必要はありません。相手へ接近したり対峙したりすることで状況が悪化する可能性も考えられます。まず距離を取り、安全な環境へ移動することを優先します。
違和感を覚えたときは、相手の行動だけでなく、その場が周囲から見えにくくないか、助けを求めやすいか、どちらへ逃げられるかも確認します。犯罪機会論とは?「不審者」ではなく「場所」を見る防犯の考え方で、環境を見る防犯の考え方を解説しています。
解説・監修
ヒーロ黒木(黒木博文)
剣護身術 代表
一般社団法人 国際護身武道連盟(IGBA)代表理事
防犯護身コンサルタント
大東流合気柔術 師範
武道歴約40年。企業・自治体・教育機関などで約2万人を指導。2013年から「子ども達を護れ!! 学校プロジェクト」を展開し、全国の学校などで防犯・護身教育を行っています。
公的機関の参考情報
本記事は一般的な防犯・護身情報を提供するものであり、個別の状況における安全を保証するものではありません。緊急の事件・事故が発生している場合は110番通報を行ってください。



