剣護身術 公式記録
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護身術は本当に役に立つ?実際の危険から考える護身術の意味

「護身術って、本当に役に立つんですか?」護身術を教えていると、ときどきこうした質問をいただきます。
動画で見ると簡単そうでも、実際に襲われたときに本当にできるのか。相手が自分より大きかったらどうするのか。突然殴られたら、技を思い出す余裕などないのではないか。こうした疑問はもっともです。
最初にお伝えしておきたいのは、護身術を習えば、どんな危険にも必ず対応できるようになるわけではないということです。現実の危険にはルールがなく、「この技を覚えれば絶対に大丈夫」という護身術もありません。
では、護身術を学ぶ意味はないのでしょうか。私たちはそうは考えていません。護身術の本当の役割は、危険を完全になくすことではなく、危険から自分を護れる可能性を少しでも高めることにあります。
実際の危険には「想定外」がある
格闘技の試合であれば、相手と向き合う準備があり、開始の合図やルールもあります。基本的には一対一です。しかし、現実のトラブルは違います。
突然胸ぐらをつかまれる、後ろから押される、酔った人に絡まれる、刃物を見せられる、相手が複数いる、家族や子どもと一緒にいる、狭い場所で逃げ場がない。さらに、相手が何をしてくるのかも分かりません。
つまり、現実の護身では「想定通りにいかないこと」を前提に考える必要があります。そのため、決められた技を完璧に再現することだけを目的にしてはいけません。
「技を知っている」だけでは十分ではない
例えば、「胸ぐらをつかまれたら、この技を使う」という方法を一度習ったとします。練習ではうまくできても、実際には相手が強く引っ張り、怒鳴り、突然殴ってくるかもしれません。恐怖で身体が固まることもあります。
そのため、技を知識として知っていることと、危険な状況で実際に動けることは別です。
護身術を役立てるには、繰り返し練習し、相手をつけ、少しずつプレッシャーを加え、予想通りに動かない相手にも対応する訓練が必要です。
護身術で最初に役立つのは「技」ではない
護身術を学んで最初に役立つものは、危険に対する意識が変わることだと考えています。
人との距離を意識する、周囲を見る、違和感を感じたら早めに離れる、逃げられる方向を確認する、知らない人を不用意に近づかせない。こうした行動です。
「そんなことも護身術なの?」と思われるかもしれません。しかし、危険な相手につかまれてから技を使うより、つかまれない距離を保てた方が安全なのは当然です。護身術の価値は、必ずしも華麗な技を決めることにあるわけではありません。
「何もできない状態」から変わることに意味がある
突然トラブルに遭遇すると、頭が真っ白になり、身体が固まり、声が出ず、逃げるという判断すらできなくなることがあります。
だからこそ護身術の練習では、危険を想定し、構える、距離を取る、声を出す、身体を動かす、離脱するという経験を繰り返します。
実際にまったく同じ状況が起こるとは限りません。それでも、「こういうときには、まず動く」という経験があることには意味があります。何も経験していない状態から、一つでも行動できる状態へ変わることに、護身術を学ぶ大きな価値があります。
護身術を習うことで危険になる場合もある
ここは非常に重要です。護身術を学んだことで、「自分なら倒せる」「多少絡まれても大丈夫」と思うようになってしまえば、むしろ危険です。
本来なら離れられた場面で相手に近づく、逃げられたのに戦う、相手を過小評価する。これでは護身術を学んだ意味がありません。
護身術は、自信を持つためのものではありますが、過信するためのものではありません。技術が高まるほど、「戦うことにはリスクがある」という現実も理解する必要があります。絶対的な強さがない理由は、「一番強い護身術」はあるのか?実戦で本当に重要なことでも解説しています。
「逃げること」も立派な護身術
逃げるという言葉に、「弱い」「負けた」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、護身の目的は相手に勝つことではなく、自分や大切な人が無事でいることです。
逃げられる状況で逃げることは、極めて合理的な判断です。戦わずに済み、けがをせず、大切な人を危険に巻き込まず、無事に帰ることができたなら、護身という観点では十分に成功です。
「勝つこと」と「身を護ること」の違いは、護身術と格闘技の違いとは?「勝つこと」と「身を護ること」は同じではないもご覧ください。
それでも技術は必要になる
一方で、「危険を避ければいい」だけですべてが解決するわけではありません。突然襲われること、逃げ道がないこと、大切な人を置いて逃げられないこともあります。
その場合には、実際に身体を使って身を護る必要があります。だからこそ護身術では、危険回避と同時に、つかみ、打撃、組み付き、刃物などの危険物、複数人、身の回りの物を利用する方法なども学びます。
ただし、これらの技術も、相手を倒すことそのものが目的ではありません。危険な状態から脱出するために使うものです。
剣護身術では「近づかせない」ところから始める
剣護身術では、相手につかまれたり殴られたりした後だけを護身とは考えていません。まず重要なのは、危険な相手を近づかせないことです。
基本となるのが、両手を前に出して相手との距離を保つ「青眼の構え」です。相手との間に境界をつくり、突然の攻撃に備え、これ以上近づかないよう意思を示し、必要であればすぐ動ける状態をつくります。
それでも相手が距離を詰めてくれば、パームガードなど次の段階へ移ります。いきなり戦うのではなく、危険度に応じて段階的に対応することを大切にしています。
護身術は「勝つ確率」ではなく「生還する可能性」を高めるもの
護身術を「あの技で相手を倒せるのか」という視点だけで評価すると、本質を見失うことがあります。
本当に考えるべきなのは、危険に早く気づけるか、相手との距離を取れるか、冷静さを取り戻せるか、逃げる判断ができるか、必要なときに身体を動かせるか、そして安全な場所まで離脱できるかです。
つまり護身術とは、戦闘で勝つ確率を高めるものというより、危険な状況から生還する可能性を高めるためのものと考えた方がよいでしょう。実戦で大切な考え方は、実戦的な護身術とは?大切なのは「戦えること」ではなく「無事に帰ること」でも紹介しています。
剣護身術が大切にする「負けない戦い」
剣護身術では、「負けない戦い」という考え方を大切にしています。相手を倒したから勝ち、逃げたから負けとは考えません。
戦わなくて済むなら戦わない。逃げられるなら逃げる。相手を近づかせない。それでも必要なら技術を使う。そして、自分自身や大切な人を護り、無事に帰る。それが剣護身術の考える「負けない戦い」です。
では、護身術は本当に役に立つのか?
答えは、「護身術を習えば絶対に安全になる」という意味ではありません。
しかし、何も知らず、何も練習しておらず、危険に遭遇したときにどうすればよいか分からない状態から、危険を察知し、距離を取り、構え、声を出し、身体を動かし、必要なら技を使い、離脱するという選択肢を持つことができます。その差は小さくありません。
護身術とは、「絶対に負けない技」を手に入れることではなく、危険な状況でも、自分にできることを一つずつ増やしていくこと。その積み重ねによって、自分自身や大切な人を護れる可能性を高めていく。それこそが、護身術を学ぶ本当の意味だと私たちは考えています。
初めて学ぶ方は、初心者におすすめの護身術とは?武道未経験者が選ぶときの5つのポイントも参考にしてください。稽古内容は一般コース、体験をご希望の方は体験のお申し込みから確認できます。



