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危険を感じたとき「声」はどう使う?護身術における発声と助けを求める力
危険を感じたとき、「大声を出せ」と言われることがあります。しかし、声は相手を倒すための武器ではありません。剣護身術では、相手との境界線を示すこと、周囲に異変を知らせること、助けを求めることに加え、逃げられない緊急時には「自分は簡単な相手ではない」と意思を伝えたり、反対に相手の興奮を和らげて衝突を避けようとしたりするための手段として考えています。
最優先は距離を取り、逃げ道を確保することです。声を使えば必ず相手が諦めるわけではなく、状況によっては相手を刺激する可能性もあります。距離、相手の状態、周囲の状況を見ながら、安全に離脱するための選択肢の一つとして使います。
護身における「声」の二つの役割
「自分は簡単な相手ではない」と伝える声
逃げられず、相手が不必要に距離を詰めてくるときは、「やめてください」「近づかないでください」と短く明確に意思を伝えることがあります。これは気合で相手を圧倒するためではなく、「私は無抵抗ではありません」「これ以上近づかないでください」という境界を示すための声です。相手が行動を思いとどまる可能性はありますが、保証はできません。相手を刺激するおそれもあるため、状況を見て離脱を優先します。
青眼と声で、距離と境界を保つ
まだ距離がある段階では、剣護身術の「青眼」という考え方を使い、相手との間に境界をつくります。これは戦うための構えではありません。手を前に出して自分の空間を守りながら、言葉でも接近を望んでいないことを示し、安全に離脱するための非攻撃的な構えです。護身術で最も大切な「間合い」もあわせてご覧ください。
相手の闘争心を和らげるための声
声の役割は、強く拒むことだけではありません。相手の興奮を必要以上に高めず、衝突を避けるために、状況に応じて落ち着いた声掛けを試みることもあります。距離がある場合は青眼で境界を保ちながら、接触してしまった場合はパームガードなどで無防備にならない状態をつくり、可能であれば相手を刺激しない言葉で気持ちを和らげることを試みます。目的は言い争いに勝つことではなく、危険から離れることです。
「声・構え・距離」は別々ではない
護身の行動は一つだけで完結しません。安全に離れられる距離があるなら、まずその場を離れます。近づかれた場合は青眼と声で境界を保ち、接触してしまった場合はパームガードで身体を護りながら、離脱の機会をつくります。それでも攻撃が避けられないときは、身体を護り、逃げる機会を見つけることを優先します。犯罪機会論とは?「不審者」ではなく「場所」を見る防犯の考え方では、危険が接近する前の環境づくりから、接近時の抵抗性までを解説しています。
周囲へ異変を知らせ、助けを求める
周囲へ助けを求めるなら、「助けてください」「警察を呼んでください」「駅員さんを呼んでください」など、必要な行動を具体的に伝える方法があります。前方で危険な行為に気づき、周囲も安全を確保できる状況なら、「危ない」「逃げて」と短い言葉で異変を知らせることも考えられます。ただし、危険な場所にとどまり続けることが目的ではありません。通り魔・無差別襲撃に遭遇したら?でも、まず自分自身の安全を確保することを大切にしています。
子どもには「大声を出しなさい」だけでは足りない
子どもの防犯でも声は重要です。しかし、危ないときに何と言うのか、声を出した後どうするのかまで、具体的に経験しておくことが必要です。剣護身術の学校プロジェクトでは、大声を発する訓練も行いながら、危険を感じる、距離を取る、声を出す、逃げる、大人へ知らせるという行動をつなげて指導しています。子どもに本当に必要な護身術とは?も参考にしてください。
声が出なかったとしても、それだけで失敗ではない
突然の恐怖に直面したとき、思ったように声が出ないこともあります。声が出せなかったから護身に失敗したと考える必要はありません。距離を取る、逃げる、人のいる場所や店舗へ移動する、110番するなど、複数の選択肢を平時から準備しておくことが大切です。
平時に「声を出す経験」をしておく
安全に配慮された訓練環境の中で、距離を取り、手を前に出し、相手へ意思を伝え、周囲へ助けを求め、その場から離れる。一連の行動を経験することは、剣護身術が大切にする「想定外を想定内にする」という考え方につながります。
「負けない戦い」という考え方
剣護身術では、相手を倒すことを最終目的とは考えていません。危険を避け、距離を取り、助けを求め、逃げ、無事に帰ること。それでいいのです。声もまた、相手に勝つためではなく、戦わずに済む可能性を広げるための手段の一つです。相手を傷つけない護身術とは?もあわせてご覧ください。
よくある質問
危険を感じたら、とにかく大声を出せばいいですか?
必ずしもそうとは限りません。声は周囲へ異変を知らせたり、助けを求めたり、接近を望まない意思を伝えたりする選択肢の一つです。状況によっては、まず静かにその場から離れた方が安全な場合もあります。
声を出せば相手は諦めますか?
相手が行動を思いとどまる可能性はありますが、保証はできません。状況によっては相手を刺激する可能性もあるため、距離、相手の状態、周囲の状況を見ながら、安全に離脱することを最優先に考えます。
接触してしまった場合はどうしますか?
まず自分の身体を護り、離脱する機会をつくることを優先します。剣護身術ではパームガードなどにより無防備にならない状態をつくり、可能であれば相手を刺激しない声掛けで衝突の沈静化も試みます。
子どもには何と教えればいいですか?
大声を出すだけではなく、危険を感じたら距離を取り、必要なら声を出し、逃げ、信頼できる大人へ知らせるところまで一連の行動として教えることを重視します。
解説・監修
ヒーロ黒木(黒木博文)
剣護身術 代表
一般社団法人 国際護身武道連盟(IGBA)代表理事
防犯護身コンサルタント
企業・自治体・教育機関などで防犯・護身術を指導。子ども達を護れ!! 学校プロジェクトでは、防犯・護身教育に取り組んでいます。
公的機関の参考情報
緊急の事件・事故で警察官に現場へ来てほしい場合は110番通報を行ってください。本記事は一般的な防犯・護身情報を提供するものであり、個別の状況における安全を保証するものではありません。



